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阪急百貨店:開店広告

2020.06.18
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1929年(昭和4年)4月14日の阪急百貨店(現・阪急・阪神百貨店)の広告は、梅田駅の食堂・食料品・雑貨マーケットを日本初のターミナルデパートとして誕生させた記念すべき開店告知だ。電車車両の形に白抜きされたスペースに広告コピーが収められている。

阪急急行電鉄社長小林一三自ら書いたコピーが肉声を伝える。

「どこよりもよい品物を。どこよりも安く売りたいと思うと、なかなか品物が揃わない、すこぶる貧弱で、不行届きでお恥ずかしい」という言葉は、社長でなければ書けないコピー。

「皆様方のご同情と、ご指導と、お引立てによるより外は途はない」というへりくだったものの言い方が言い方がいかにも大阪商人らしい。「我々の希望は、気長に、堅実に、立派な店に育てたい」と記してあるとおり、年の拡張と共にターミナルデパートはやがて大都市の盛り場の中心となった。そして郊外電車の発着点が流行の発信基地となり若者たちの集先端的なスポットとなっている。

1929年は、4月に日本航空輸送が東京―大阪―福岡間で定期旅客便を開始し、壽屋が国産初のウイスキー「サントリー白札」を発売し、日本―ヨーロッパ間の無線電信取り扱いが開始された。5月、アメリカの本格的なトーキー映画が東京で封切され、6月東京―立川間の省線電車が開通した。8月にはドイツの飛行船ツェッペリン号が霞が関に着陸して大きな話題となり、10月には、東京日比谷公会堂が開場した。ターミナルデパート阪急百貨店の開店は、このような時代の変化をいち早くとらえ都市生活者の利便性を追求した先進的な試みであった。


参考図書:宣伝会議 岡田芳郎 「日本の歴史的広告 クリエイティブ100選

by:浅見 健太郎

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