MENU
トップイメージ トップイメージ

BLOG

「保全・上司」×「拡散・部下」 もし「興味ないんで」とさらっと言い放たれたら【あなたの知らないあなたの強み】(7)

2020.08.11
  • LINE
  • Twitter
  • Facebook

部下が思うように動いてくれない。これは「拡散性」の高い部下に対して、「保全性」の高い上司が抱く悩みの代表的なものではないでしょうか?
では、部下はなぜ動かないのでしょうか?
「やる気スイッチ」どころか「やる気なくなるスイッチ」を無意識の内に押しているからです。

「この仕事、興味ありません。」
と平気で言う部下をどう育てていけばいいか分からないと思う上司はいると思います。「好き」「嫌い」で世の中が回れば何も問題はないのですが、実際そうはいきません。
ただ、「拡散・部下」は反抗しているのではなく、悪気がない、本当にそれが通ると心から思っていることがほとんど。では、この部下をどのようにして育てていけばいいでしょうか?

「興味がない」「勉強嫌いで」と言い出すのは「拡散性」の高い人が示す典型的な反応。以前、「上司としての『拡散性が高い人』を紹介しましたが、「受容・保全」タイプが日本社会において、「自分には異質」な部下として現れる可能性が高いのが「受容・拡散」タイプと言われています。

ヒビトの勉強スイッチが突然入ったワケとは?

南波六太(ムッタ)と、弟日々人(ヒビト)。何度も登場する兄弟ですが、学習スタイルの違いに着目します。
ヒビトは、ムッタより先に宇宙飛行士になります。しかし、子どもの頃はまったく勉強ができないヤツでした。宇宙飛行士を目指すきっかけを与えた「シャロンおばちゃん」から英語を教えてもらっても、まったく覚える気がありません。
ところが、中学生なると別人のように勉強に没頭し、「突然、私よりも成績が良くなった」とムッタは回想しています。
でも、これは本当に「突然」だったのでしょうか?

「とりあえずやる」という体験から入るヒビトのアプローチは、「拡散性」の高い人に良くみられる傾向です。今回は「拡散性」の高い人の学び方に焦点をあてて、彼らの「やる気スイッチ」はどこにあるのか説明していきます。

「拡散性」の高い人は失敗を厭わないので、まずやってみます。失敗しても気にしません。またすぐにやります。
何度かやるうちに、「なるほど」と物事の全体像を概念的に理解していきます。つまり、正解と照らし合わせて確認するアプローチではなく、仮説・検証を繰り返す帰納法なアプローチ。概念的な理解を好むので「細かいこと」はつまらなく感じます。

マニュアルを読むのは好きじゃないヒビト

「とりあえずやる」という「拡散性」の特性がよく表れているシーンがあります。
月面の宇宙基地を造るミッションに選ばれ、月に飛び立つ直前のこと。月面で使う重機を操作を覚えるため、クルー全員で操作マニュアルを読もうとしたところ、「やった方が早い!」といい、マニュアル本を閉じます。この「とりあえずやろう」がヒビトなのです。

では勉強嫌いのヒビトは、なぜ勉強ができるようになったのか。「拡散性」の高い人は、取り組むべき課題が複雑になったり、答えのない課題に直面したりすると、がぜん興味が湧いてきます。面白いから時間を忘れて没頭します。ヒビトの夢、宇宙飛行士は簡単に手が届くものではない。だからこそ、ヒビトが中学生になった頃から、「もっと早く宇宙に行きたい」と勉強に加速がついたかもしれません。

ムッタはしっかり資料を読むタイプ

事前に資料を読み込み、全体像を把握した上で、一つひとつ慎重かつ確実に積み上げていきます。そんなムッタは、興味のおまむくままに勉強に没頭するヒビトを見て「突然成績が良くなった」と感じるのも仕方ありません。またムッタは少年時代のヒビトのことを「頭のネジが一本足りない」と語っています。

ムッタの誕生日、ヒビトは「UFOが撮れた!」とUFOの映像をプレゼントします。少し前にムッタはUFOを目撃していたのですが、友達から「本当なら証拠を見せろ」といじめられていました。そこでヒビトは彼らを見返すため、ムッタを思って用意します。
ところが映像を見てみると、ニセモノであることがバレバレ。しかもヒビトの机の下からは、手作りのUFOと釣りざおまで出てきます。この時、ムッタはヒビトのことを「抜けている」と思います。

ただ、「抜けている」ように見えることも、「拡散性」が高いタイプの特徴の一つです。「拡散性」の高い人は一点に集中しやすく、枝葉末節は気にならないというか、見えなくなります。

個性のすれ違い不幸な関係を生む

ここで冒頭の「この仕事、興味ありません」と平気で言う部下を、どう育てればいいか、という悩みです。
上司がやり方を押し付ければ、部下は興味を失うでしょう。もしくは上司の言うことには聞く耳を持たず、自分勝手にトライアルしようとする。

すると上司は部下を「言うことを聞かない扱いにくいヤツ」と評価します。一方、部下は上司を「自分を理解してくれない」とお互いを低く評価してしまう。こうしたすれ違いから、お互いが極度のストレス状態に追い込まれます。

「目の前の仕事が、いかに興味深いか、面白いか」に変換

「拡散性」の高い人は、「好き」や「興味」が最大の学習動機になります。「拡散・部下」をやる気にさせたいなら、本人の好きなやり方で任せるのが一番です。「保全・上司」のみなさん、部下にお願いする仕事がルーティンワークかもしれません。それでも、仕事の意味づけを変えることはできます。「インプットとアウトプットは変えられないけど、プロセスは変えても構わないよ。好きにしてごらん」。

「拡散性」の高い人は、人と同じことをやりたがらない、”あまのじゃく“な面があります。そんな部下だからこそ、「オンリーワン」な存在としてくすぐる。これが「拡散性」高い部下への最高の動機づけになるはずです。

By浅見 健太郎

お問い合わせ

CONTACT

電話アイコン
TOKYO
03-5288-5972
電話アイコン
OSAKA
06-6356-1800