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富士ゼロックス「ビューティフル」キャンペーン広告
新時代の価値観をリードしたメッセージ
1970年(昭和45年)6月にスタートした富士ゼロックス「ビューティフル」キャンペーンは、時代の価値観の変化を鋭く見通した先見性のあるメッセージだった。「モーレツからビューティフルへ」という言葉が人々に新鮮な響きで届くか、これまでと違う考え方を広範な人々に感じさせられるか、
「ビューティフル」はそれまでの日本人の生き方・働き方「なりふりかまわぬモーレツ」をシフトチェンジする主張。モーレツを否定するのではなく、「クールなモーレツ」「スマートなモーレツ」こそ、これからの日本人の求めるべき道、としている。
このキャンペーンは「脱広告」という広告手法も意図された。企業・商品を伝えるのではなく、企業から離れた「社会発」のメッセージを伝えた。キャンペーンの成否は、「モーレツからビューティフルへ」が新しい価値観・生き方の指針として社会に広まってゆくかにかかっている。「人々が心の中で感じ始めている、形にならない思いに表現をあたえる」それが企画者の狙いだった。「広告自体、企業が社会に提供する立派な商品」という富士ゼロックス経営者の考え方がこの企画を推進させた。
1970年は、3月に大阪万国博が開催、8月歩行者天国が出現。日本社会が大きく変化するきっかけになった年である。「ビューティフル」はそれまでの経済効率一辺倒から人間回復を目指す日本社会の転換をリードするキャンペーンとなった。
WORKSについては下記より、ご覧ください。
https://a-sh.co.jp/works/workscat/all/
参考図書:宣伝会議 岡田芳郎 「日本の歴史的広告 クリエイティブ100選」
by:浅見 健太郎