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JR東海:「距離に負けるな、好奇心」広告

2020/06/22

1988年(昭和63年)1月29日、JR東海の広告「距離に負けるな、好奇心」は情感をにじませつつ若者に行動的な生を呼びかける。「ビートルズの時がそうだったように。その時の、そのあなたじゃないと、ぜったい行けない場所がある。(中略)その時の、あなたじゃないと、どうしても感じない出来事がある」

若さの特権は感受性にあふれていることだ。それはほんの短い間にしぼんでしまう。今のチャンスを逃してはいけない、と広告は若者をけしかける。「誰がなんと言ってもあなただけが知っている最高の宝物。それはたとえば、探し歩いた小さな喫茶店の、マスターの笑顔かもしれない」

この広告は、国鉄が1970年にスタートさせたDISCOVER JAPANを受け継いでいる。「ディスカバー・マイセルフ」「美しい日本と私」をサブテーマにしたキャンペーンの思想は、新幹線という翼を持っていっそうスピーディに、気軽に動く旅の提案へと前進させた。

広告には、若い女性がコンサートのパンフレットを胸に抱いて新幹線の座席で満足げに目を閉じている。1964年に東海道新幹線が開通してから24年。ビジネスの大動脈として機能するとともに、個人の内面生活を拡げる役目を広告にシフトさせている。 「距離に負けるな、好奇心」 というフレーズの優しさが心をくすぐる。

この年の日本経済は成長し、株価も3万円を突破した。地域活性化のための地方博覧会が全国各地で開催され賑わった。


翌年、牧瀬里穂さん出演のJR東海クリスマスエクスプレスのテレビCMが放送される。

1989年はよく激動の時代と言われる。昭和天皇崩御により、昭和という時代が終わり、平成が始まった年。ゲームボーイが発売され、手塚治虫先生が死去し、中国では天安門事件が起こった。ベルリンの壁が崩壊し、冷戦の終結が宣言された年でもあった。とにかく、世界的にみて大きな事件が起こった年でもあった。


参考図書:宣伝会議 岡田芳郎 「日本の歴史的広告 クリエイティブ100選

by:浅見 健太郎

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