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角川書店:書籍と映画の同時広告
「読んでから見るか、見てから読むか」
このキャッチコピーが映画館と書店を席巻した1977年公開
角川書店・角川春樹事務所「人間の証明」。
この広告は、それまでの常識を破り、書籍と映画を同時並列させ、1つのパッケージにした。
「読んでから見るか、見てから読むか」 のキャッチコピーは読者に本を読むだけでは終わらせない、観客に映画を観るだけでは終わらせない、次なる行動をうながす。
現在では、書籍を映画化するのが順当だが、この広告は逆もありうると教えてくれる。その方がとっつきやすく面白く読めると考え方もある。映画では語り切れない細部や心理、ストーリーの拡がりを本で理解できるという算段だったと予想できる。当時、 角川書店・角川春樹事務所は書籍広告と映画広告のあり方への挑戦したのだ。
「人間の証明」は「犬神家の人々」に次ぐ角川映画の第二弾作品である。6億円の映画製作費を超える11億円の宣伝費を投じたと言われている。書籍と映画の相乗効果を狙った意欲的な戦略。
1977年は日本赤軍による日航ハイジャック事件や円高で不況による倒産が相次いだ。一方、ピンクレディーも「UFO」や王選手のホームランの世界記録などでのプロ野球人気の上昇をはじめ気分を上向きにする変化も生まれたと言われている。
WORKSについては下記より、ご覧ください。
https://a-sh.co.jp/works/workscat/all/
参考図書:宣伝会議 岡田芳郎 「日本の歴史的広告 クリエイティブ100選」
by:浅見 健太郎