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黒に惹かれて
私たちが、何か買い物をする際の選考基準に、「色が」がある。もちろん、好みの色の商品を求めることが多いが、時に他の色に惹かれることも少ない。
そして、それは「黒」である場合が多い。
黒には不思議な魔力がある。一見暗くて重いネガティブなイメージだが、その裏には素材感や本物感、高級感といったプレミアムな性格が隠れているように思う。
そして、私たちは、そんなニオイを瞬時に嗅ぎ取り、時に黒い商品を購入する。
例えば、今や大画面のテレビは様々な色が用意されるが、圧倒的多数のお客は黒を選ぶ。高額商品ゆえ、黒の放つニオイこそ相応しいと感じるからではないだろうか。
また、アメリカン・エキスプレス社の最上級カードは「センチュリオン」、ブラックカード。世界でも限られたVIPのみが持つことを許され、世のエグゼクティブたちの憧れの的。
もし、食事の会計時に見ることがあったら、崇拝してしまう。
他にも、食品の分野では、黒はそそる色じゃないのに、黒烏龍茶、焼酎の黒霧島など、黒をイメージさせるメニューが人気だ。黒霧島が「クロキリ」と呼ばれ、瞬く間に焼酎界のトップに成長したのも、その名前の持つイメージ無関係とはいえない。
サービスだってそうだ。例えば、 スターバックスコーヒー東京ミッドタウン店。この店舗ではバリスタ(スタバではスタッフをこう呼ぶ)は全員、黒エプロンを着用する。通常、スタバのエプロンといえば緑色だが、彼らはコーヒーの知識や経験が豊富な選ればし精鋭たち。そして、彼らの「黒」に惹かれるように、連日多くの人が押し寄せる。
僕は詳しく知らなかったので調べたところ、
この店舗では、通常のスタバにはないコーヒー豆を販売したり、コンシェルジュカウンターがあってテイスティングできたり、プレス式でコーヒーを入れてくれたり、マグカップが黒だったりと様々なオプションが用意されている。
でも、お客はそれらの詳細は分からずとも、ただ、なんとなく、ブラックエプロンに惹かれて訪れる。
いちいち説明せずとも黒は、高級感と同時に安心感も与えてくれる。
by浅見 健太郎
参考図書:草場滋 「買う5秒前」