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「今夜、すべてのバーで」 著:中島らも を読んで

アッシュについて

2020.05.19
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 「バンド・オブ・ザ・ナイト」というジャンキーを描いた、中島らもの傑作を読んだのは、20代の最強にイキッてた頃でした。クスリで酩酊するシーンでは、脈略の無い単語だけが20ページも続くというわけのわからん内容に、ただただ圧倒されたのを覚えています。

 さて、久々に小説を読もうと思って手にしたのは、そんな中島らも先生の「今夜、全てのバーで」という作品です。ざっくり言うと、30代半ばでアルコール依存症の男が、入退院を繰り返し、周囲の人々と触れ合うことで再生を果たす。という、前述の作品よりはまだ救いがあり、中島らも特有の生々しい表現にあふれた、これまた傑作。

 「バーボンが胃の奥に消えていく…」とか、特有の詩的な表現を、依存症の恐ろしさで編み込んだ激マズミルフィーユです。でも大丈夫。気が付いたら完食していました。

 男が、依存症から復帰していく表現で、特に印象的だったのが、「フケに感動する」というシーン。ほぼ酒かハチミツしか口にしていなかった男が、入院して体の回復を実感したのが、「頭皮から何年かぶりに老廃物が出てきた」こと。リアルガチすぎる。

 ご自身の体験もあるのかもしれませんが、取材や資料に裏打ちされたアルコール依存症の怖さ、魅力的なセリフと描写、登場人物、とても素晴らしい作品でした。おススメです。

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