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利久「透視広告」
1930(昭和5年)10月31日の「利久」の新聞記事下表裏広告は、新聞紙の薄さを逆に利用した広告。
片面の紙面に広告スペースいっぱいに大きなひょうたんが描かれ、右下に「? 何だろう? 透かして 御覧」、左下に「イヨー ステキだ!! 実にウマイ」とキャッチコピーが入っている。その紙面の裏側には裏返しの文字が置かれている。左下には「裏面から 透かして 御覧」と書いてある。
表面から透かしてみると、「最高級 理研酒 利久」の文字が見えてくる仕掛けになっている。
この頃、世界恐慌が日本にも波及。人員整理、賃金切り下げが行われ、殺伐した世相になっていた。
この広告は、そんな時代だからこそ人の心を和ませるちょっとした楽しみを提供したのかもしれないですね。
19年6月に朝日新聞に『君の名は』の広告が掲載された時も話題になりました。
「カタワレ時」(夕暮れ時)に夕日にかざすことで瀧と裏面に描かれた三葉が出会うという広告。コレクターには朝日新聞を買うだけで入手できるアイテムに。
参考図書:宣伝会議 岡田芳郎 「日本の歴史的広告 クリエイティブ100選」